AIでアルツハイマー病の診断支援
アルツハイマー病(Alzheimer disease : AD)は不可逆的な進行性脳疾患であり, その症状のほとんどは60 歳以降に現れる. しかしながら現在のところ, AD を完全に治すことは不可能である. β-アミロイド(Aβ)の蓄積は, アルツハイマー病の診断的特徴と考えられている. 18F-orbetaben(FBB)は, Aβ を対象とする放射性医薬品トレーサーの一種である. したがって, 18F-FBB アミロイド陽電子放出断層撮影(positron emission tomography : PET)は, 磁気共鳴イメージング(magnetic resonance imaging : MRI)およびコンピューター断層撮影(computed tomography : CT)よりも, AD に関連する脳の変化を理解するためのより強力なツールであると考えられている. Brain amyloid plaque load(BAPL) スコアは,18F-FBB を適用した被験者脳内のアミロイド沈着の視覚的評価に従って, 医師が測定を行う事前定義の3 段階スコアリングシステムのことである. BAPL スコアは, BAPL1, BAPL2, およびBAPL3 に分類され, それぞれAβ 負荷なし: no Aβ, 軽度のAβ 負荷: minor Aβ, および重度なAβ 負荷: significant Aβ を示す. 臨床医による画像の視覚的評価は, 画像評価で最も信頼できる手法の一つである. しかし, 診断に時間がかかってしまうことや, 医師に対する負担が大きいという課題がある. さらに, 数値比較は不可能であり, 臨床医間での診断にばらつきがでてしまうという問題もある.本研究では, 深層学習を用いてBAPL スコア分類を行い,診断支援を行う.本研究は韓国DongA大学医学部との共同研究である.
Fig.1. Joint Discriminative lossを用いた深層学習によるPET脳画像の高精度なBAPLスコア分類
関連発表論文:
1. Ryosuke Sato, Yutaro Iwamoto, Kook Cho, Do-Young Kang, Yen-Wei Chen, “Accurate BAPL Score Classification of Brain PET Images Based on Convolutional Neural Networks with a Joint Discriminative Loss Function,” Applied Science, Vol.10, 2020 (SCI, Impact factor: 2.474) (Link)
2. Yosuke Sato, Yutaro Iwamoto, Kook Cho, Do-Young Kang and Yen-Wei Chen, “Comparison of CNN Models with Different Plane Images and Their Combinations for Classification of Alzheimer’s Disease Using PET Images,” In: Chen YW., Zimmermann A., Howlett R., Jain L. (eds) Innovation in Medicine and Healthcare Systems, and Multimedia. Smart Innovation, Systems and Technologies, vol 145. Springer, Singapore, pp.169-177, 2019 (Proc. of InMed2019, Malta, June 17-19, 2019) (Link)