多重線形多様体による超解像度技術と医用画像の高画質化(贈呈書)
・研究目的:
本プロジェクトでは,医用画像の断層間(Z方向)の高画質化を目的として,三次元学習ベース超解像度技術の開発に取り組む.
医用分野において,患者の診断にCTやMRIなどのデジタル医用画像を用いることが日常となり,医用画像の画質が医療
診断に大きな影響を及ぼす要因となっている.医用画像は解像度が高いことが望まれるが,現状は検出器や放射線量な
どによる撮影条件から必ずしも十分な精度の画像を得られるとは限らない.特に断層間(Z方向)の解像度は断層面(XY方向)
の解像度に比べて一般的に解像度が低い.その解決策として,近年は超解像度技術が注目されており,マルチフレーム超解
像度技術やシングルフレーム超解像度技術が提案されているが,医用画像への適用に際して,例えば患者の被ばく線量の
増加等の問題点が指摘されている.
そこで本プロジェクトでは,申請者が先行研究で開発した高周波成分を考慮した2段階学習ベース超解像度技術を改良し,
三次元医用画像の高画質化に最適な手法を新たに開発する.本技術の実現により,被ばく線量の増加させることなく
画像処理技術のみで医用画像の高画質化を可能にする.
・研究の概念図:
本プロジェクトでは,申請者が先行研究で開発した高周波成分を考慮した精度よく復元できる2段階学習ベース超解像技術を改良し,
三次元医用画像の高画質化を目指す.本手法は,従来の学習ベース超解像技術で生成した高解像度画像に,
同技術で生成した高解像度の残差画像を補填することで,高周波成分を復元して鮮明な高解像度画像の生成を可能にする.
我々は本手法を既に二次元の顔画像の高解像度化に適応して有効性は検証済である.しかし,医用画像は三次元画像であり
断層間(Z方向)の解像度の向上が重要であるため,適用には以下の課題解決が必要である.
・ 医用スライス画像のバリエーションが大きく,データベースのスライス画像を用いて入力スライス画像
を高精度に再構成できない;
・ 医用画像において,出力スライス画像と同じ解像度の学習用スライス画像が一般には存在しない;
・ 二次元顔画像に適応した本手法を,そのまま三次元医用画像の高画質化に適用するのは最適でない。
そこで,本プロジェクトでは,上記の課題を解決して医用画像の断層間(Z方向)の高画質化を実現する。研究の概念図は図1に
示している。
図1 高周波成分を考慮した学習ベースシングルフレーム超解像度手法
・関連研究発表: